こんばんは。沖縄旅行で聞いた話です。
大切な箱入り娘を、いつの間にか、どこの誰とも知れぬものに取られてしまった。
どうしたらよかろうかと考えて、まず、その若者の身元を確かめることだと気づき、それではと、母親は、娘に策を授けた。
「こんど、その若者が夢に現われたとき、忘れずに、この針をその髪に刺しなさい。
きっとですよ」と言い含めた。
その夜、娘は、例の夢をみた。
夜があけた。
いつもの通り、娘の部屋には、若者の来た気配は、どこにもない。
しかし、一本の赤い糸が、戸の節穴のところから外につながっていた。
あの針の目には、大きな糸巻きからの赤い糸が通してあったのだ。
両親と娘は、その赤い糸をたどっていった。
糸の先は、ずつと滋水御嶽の洞窟のなかに入りこんでいた。
不思議に思って中へ入って見ると、何とそこには頭に糸の付いた針を刺されて大蛇がいたのでおる。
男の正体は蛇でした。
三人は息をのんで、へたへたとその場に坐りこんでしまった。
どうして家へ戻ったのかわからない。
その翌朝のことです。
娘が、「昨夜は、こんな夢をみました」と、気づかわしげに娘の寝床をのぞきこんだ母親に話した。
「またあの若い方がいらして、こう仰言ったのです。
われは、この島を建てた古意角の化身です。
お前に想いをかけたのは、あらたにこの島を守る神を立てようがためだ。
お前はやがて、三つ子の女児を産むでしょう。
その子が三歳になったら、滋水御嶽に連れてまいれ、とそれは優しく言われました」娘の顔は、晴れ晴れとしています。
両親は、半信半疑ながら、娘が気落ちして病気になったり、ひょんなことなどは、しそうもない様子に、ほっとして、娘をいたわりながら安産の日を待つことにしました。