出会ったヒト 6
私はめまいどころか軽い吐き気すら覚え「気が知れない」とだけ思いました。
今頃は既にだいぶ下がって地上千メートルあたりを浮遊しているであろう彼女のことを想像してみる気力もなかったのです。
まったく、こんな恐ろしい趣味を持っているなんて、気が知れない以外の何であろうか。
それから二十分後、機上の人として無事地上に生還した私は、「飛ぶ人」として同じく無事生還したEちゃんに下界で再会した。
ヘルメットをはずしたその顔は、頬が軽く上気している以外はまったく平常そのものだった。
先程の恐怖でまだ膝ががくがくしている私と比べ、何と堂々と落ち着き払っていることだろうか。
「さあ、いよいよ次はあなたの番よ」
「と、とんでもない」
とりあえずちょっとだけ笑ってそう答えた私の声が冗談ぽく聞こえたとしたら、それはとんだお門違いでした。